老犬介護:高齢犬の異常興奮とパニック発作について

老犬介護:高齢犬の異常興奮とパニック発作について

てんかん発作を発症してから、寝たきりになってしまったコタロウ。

当時、てんかん発作は1時間以上続く「てんかん重積状態」になった。その際に、脳に相当なダメージが蓄積したため、自力で立ち上がることはもちろん、立ちの姿勢をとることも出来なくなった。おそらく運動機能障害になったと思われる。

元気な頃から、横になって寝ることが苦手だったコタロウ。寝たきり生活になった今、コタロウにとっては苦痛の日々。横に寝かした際、ジタバタと立ちあがろうとするも、どうしても立ち上がれない。

今、自分が置かれている現状、立てないことが理解できない、視界や感覚がおかしい…そうした状態が続くと次第に興奮状態、パニック状態になり発作を起こすようになった。

運動機能障害で立つことが出来ず異常興奮、そしてパニック発作を発症する。

目次

横に寝かせると異常興奮となりパニック発作を起こす

横に寝かされるのが苦手なコタロウですが、寝かされてすぐにパニック発作を起こすわけではない。

左下で寝かせると体を起こそうしてエビ反りになる。右下で寝かせると鼻をクッションに強く押し当て、首の力で体を起こそうとする。右方向への捻転斜頸も発症しているのかもしれない。

高齢犬の異常興奮とパニック発作
高齢犬の異常興奮とパニック発作

立ち上がりたいのにそれが出来ない状態、なんとかして立ち上がろうと足をバタつかせたり、体をねじらせたりするうちに息が上がり始め、心拍数の上昇。この状態が異常興奮。

異常興奮状態が続くと、激しい口呼吸、大量のヨダレ、失禁、脱糞。目は見開いて、足の関節は硬直し強張って、小刻みに痙攣。首や身体はそり返りる。パニック発作状態になる。

高齢犬の異常興奮とパニック発作

リラクッションに乗せても異常興奮する

横に寝かせて異常興奮状態になると、その先のパニック発作を防ぐため、リラクッションに乗せて体を起こすようにしている。

立ちの姿勢になったことで興奮状態は多少和らぐものの、次は歩きたいと足をバタバタさせる。リラックスする様子はなく足のバタバタは続き、次第に息が上がって、大量のヨダレ、失禁となる。

前足は後ろの方向へ硬直し、スキージャンプの体勢で強ばる。パニック発作まではいかないが、異常興奮がエスカレートして体力を消耗する。

高齢犬の異常興奮とパニック発作

異常興奮とパニック発作で痩せてしまうのを防ぐ

異常興奮、パニック発作中は体力をかなり消耗している。ここまで息を切らしているコタロウは見たことがない。おそらく、全力疾走と同じくらいの体力を使っているはず。

てんかん発作で寝たきりになる前は10kgほどあった体重も、ここ最近では7.5kgほどまで痩せてしまった。25%の体重減を人間に例えてみれば、どれだけ過酷な状態か理解できる。

食事の量はむしろ増えている。1日3〜4食、完食はしないしないが量は以前の倍以上。これだけ増やしても体重は一向に増えなかった。

現在はチューブ・ダイエット(ハイカロリー)を飲ませたり、チキンナゲットやウィンナーといった普段なら絶対に与えない高脂質の食べ物も少しずつ与えている。

また、睡眠導入剤の「トラゾドン」を服用して、深夜は半ば強制的に眠らせて、体力を消耗する時間を可能な限り減らしている。

いろいろ試した甲斐あってか、体重減少は止まったようにも感じる。

異常興奮を止めてパニック発作を防ぐ方法

寝たきりになってから大量消費と大量摂取を繰り返している状態。シニア犬の老体にはかなりキツいはず。何とかして異常興奮は止めてあげたい。異常興奮を止めることができれば、その先のパニック発作も防ぐことが出来る。

試行錯誤する中で、コタロウの異常興奮を止める方法を発見した。

犬を横に寝かせたら背中側に座る。そして、肘をうなじ当て、手のひらを胸骨辺りに。そして、全体的に押さえるイメージ。押さえると言っても力づくではなく、軽く負荷をかける程度。男性なら腕の重みだけでもいいかもしれない。

もう片の手は胸に当て抱き抱える。または暴れる前足、硬直した顔の筋肉をほぐすようにマッサージしたりする。

これをだいたい10〜30分続けると、口呼吸から鼻呼吸に、そして次第に息はゆっくりに、心拍数も落ち着く。しばらくすると足をビクッとさせたり、瞬きをするなどの眠る合図がみられる。そしたら、ゆっくり手にかけた荷重を和らげ、慎重に手を離していくと寝つく。

この方法は「寝かしつけ」としても応用できるので、睡眠導入剤を服用した後にも効果的。

コタロウの場合、異常興奮は体が動くから発症してしまうのかもしれない。体の動きを一時的に制限すると、落ち着く場合がほとんど。

あくまで、この方法は私個人が推奨する方法。コタロウだから効果のある方法かもしれないし、医学的に良いのか悪いのかは分からない。でも、この方法なら異常興奮は落ち着き、硬直した顔の筋肉が徐々に和らいでいき、パニック発作を防ぐことが出来る。

鎮静剤はまだ使いたくない

パニック発作はいわばてんかん症状の一種。事前の飲み薬や座薬で抑えることは出来る。ただ、私は鎮静剤といった薬は極力使いたくない。

もちろん、鎮静剤を使えば介護者の負担が減るだけでなく、犬本人も体力を消耗せずに済む。しかし、鎮静剤は半ば強制的に動きを封じる薬。

老犬介護で用いられる代表的な鎮静剤「アセプロマジン」は神経遮断薬とも言われ、麻酔前に使われるほど強い薬。当然、リスクがゼロのわけがない。食欲がなくなったり、呼吸が止まってしまうケースもあるらしい。

また「ジアゼパム」といった座薬は高頻度で使うと次第に効かなくなると獣医師に忠告された。もし、次のてんかん重積状態で肝心の座薬が効かないってなるのはかなりのリスク。

ただ、鎮静剤を使っている飼い主を全否定する気はない。各家庭によって飼育環境は異なるだろうし、仕事や家事育児といった都合もある。老犬介護だけに1日の時間を費やす方が無理がある。実際にコタロウの介護を経験して、それは痛いほど分かる。

異常興奮やパニック発作は高齢犬のワガママではない

横に寝かせると暴れて激しく吠えることを「高齢犬のワガママ」と軽く捉える人もいるだろうが、おっとりと過ごすシニア犬が息を切らして痙攣していたらそれは異常事態。何かしらの対策は行うべきだと思う。

薬を使う、もしくは紹介した方法でとにかく興奮状態を抑えてあげて、体力の消耗を防ぐことが大切。

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この記事を書いた人

柴犬コタロウの老犬介護に生活の全てを捧げたアラサーおじさん。千葉の先端にある古民家で暮らしてます。保護猫2匹も一緒に住んでます。Twitter、Instagram、YouTubeでも老犬介護の情報を発信しています。

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